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源泉掛け流しの湯で大自然の力を実感

冬になると温泉に行きたくなる。

「源泉掛け流し」(最近、自信のある宿はきちんと表示している)の気に入った山奥の一軒宿には、冬季休業というところも多いのだが、中には通年営業で大自然を実感させてくれる温泉もある。

雪の露天風呂が味わえる嬉しい宿。そんな宿が、山形県の米沢市郊外にある。山の中腹に位置しており、標高は1200メートル近いという。一軒宿で源泉はこの宿専用。セ氏50度以上で湧き出しているお湯は、湯量が豊富でもちろん源泉掛け流し。加水も一切していない。わずかな硫黄臭がある透明なお湯は、さらりとしていながら良く温まる。まさに、大自然の力を感じさせてくれる温泉なのだ。

この宿、内湯も素晴らしいのだが、いくつかある露天風呂がまたイイ。屋根の付いた大きな露天風呂も捨てがたいけれど、できれば天然木の幹をくり抜いた「根っこ風呂」でゆっくりしたい。切り株をくり抜いた丸い風呂にあぐらをかいて、周りの自然を楽しみながらじっくりお湯に浸かる。これはもう、堪えられないものである。

温泉、特に源泉掛け流しのお湯の良いところは、暖まるのにのぼせないことだと思う。最初はちょっと熱いと感じても、すっと慣れていくらでも入っていられる。特に冬の露天は、アタマが寒い。雪など降っていたらなおさらである。まさに「頭寒足熱」。暖まる端から冷めていく感じで、最高の長湯が楽しめる。

露天風呂での大人の楽しみは、やっぱりノドを潤すビール(笑)。冬は、露天風呂の周りの雪に缶のまま突き刺しておけば、キンキンに冷えたビールが楽しめる。ビールだけではない。ウイスキーがまたイイ。皮など貼ってない、そっけないステンレスむき出しのスキットルにウイスキーを詰めて持って行く。これも雪に突き刺しておいて、冷えたのをチビチビ飲む。

ウイスキーのチェイサーは、風呂の埋め水。この埋め水、山の湧き水だから抜群に美味い。丸い根っこ風呂にあぐらをかいて浸かり、気に入ったウイスキーを美味い湧き水といっしょに飲んでいると、時間が経つのも忘れてしまう。自然の恵みに感謝の念が湧いてくる。

注意点は一つだけ。ガラスや瀬戸物のビンや器を持ち込まないこと。落としても割れないもので楽しもう。アウトドア用のステンレスのマグカップなんかが一番良いと思う。
(あ、あと、高血圧の人なんかはお気をつけください:笑)

山の温泉での冬のもう一つの楽しみといえば、やはりスキー(最近はスノボのほうが多いか?)である。とはいえ、昔を思い出したりしながら調子に乗って滑っていると、運動不足の身ではすぐに足がパンパンに張ってしまう。宿に帰り着く頃には、だるくてだるくて大変だ。

ここで温泉である。源泉掛け流しの湯に足を伸ばして浸かれば、不思議と張りが楽になってくる。凝った筋肉がふっとほぐれて、血の巡りが良くなるのが実感できる。冷えた身体が芯から温まる。翌日の筋肉痛も軽くて済むような気がする。もちろん、たっぷり運動してから風呂に入っているので、いつもよりビールが美味いという"効果"もある。ホテルのユニットバスやシャワーだけではこうはいかない。

スキーは滑るだけでも十分に楽しいのであるが、温泉が組み合わされてはじめて完成する遊びではないか、とさえ思っている。それほどスキーと温泉の相性は素晴らしい。先の山形の温泉も、近くにスキー場があって冬はスキー客で賑わう。他にも、群馬・草津温泉や北海道・ニセコ温泉郷など、スキーと温泉の組み合わせを高いレベルで楽しめるところが他にもたくさんある。

そして、そのときの温泉は、できれば源泉掛け流しを選びたい。お湯に浸かっているだけで、大自然の力を実感できること請け合いである。

(バンドル星人@一日六湯)
プロフィール

バンドル星人@一日六湯

北海道生まれ。学生の頃に温泉開眼。オフロードバイクで山の温泉をハシゴすることを無上の楽しみとしていた。最多は、一日に六湯。当時から、湯船からお湯が溢れるとか、お湯を飲むためのコップが置いてある、といった源泉掛け流しの見分け方を体得していた。いわゆる温泉街の鄙びた感じも好ましいが、車やバイクを置いて歩いていくような一軒宿(部屋がランプだったりするとまたイイ)を愛する。とはいえ、そうそう山奥の温泉ばかりに行ってもいられないので、東伊豆・熱川の海岸にある露天風呂「高磯の湯」にちょっと逃避したりしている。本業はWebビジネス・コーディネータ(仕事のblog)。

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